2013年1月23日水曜日

東ベルリンから来た女

「東ベルリンから来た女」を観てきました。
これは、ぜひとも映画館で観るべき!
とても良かった。

全体的に静かな映画だけど、伏線を上手く張ることで観客を巧みに引き込んでくれるから全然飽きなかった。
そしてなんといっても画が美しい。




舞台は、東西冷戦中の東ドイツ。
西ドイツへの移住申請を却下されて田舎の病院に左遷された主人公のバルバラが、女性として、また医師として葛藤しながら生きる様を描いた良作。

この作品の監督は、子供時代に両親の意向で西ドイツに移住したという過去を持っている。
それでも、夏休みには毎年東ドイツの町で過ごすのが恒例になっていたんだとか。

この映画で、当時の東ドイツの暗くて寂れた雰囲気の中に美しさや哀愁のようなものを感じとることが出来るのは、やはり監督自身の祖国の記憶が反映されているからだろう。

美しさや哀愁は、色彩、風景、小物など色々なものから感じられる。
バルバラが乗っている錆びた自転車はその代表格で、暗い海、人気のないカフェ、ヴィンテージ風のショルダーバッグもそう。

バルバラが無機質な森の中で恋人と密会をするシーンが好き。



あとは、音も重要なポイント。
映画の中では、BGMが全く流れない。
その代わりに、ハイヒールの音、コーヒーカップが割れる音、吹き荒れる風の音が緊張感を持って感性に訴えかけてくる。

自然が作り出す生の音が、もしかしたら一番感動するのかもしれないなと改めて思えたのは、きっと映画館で観たことも大きな要因だろう。

ラストは、2人の呼吸の音で締めくくられる。
私の隣で寝ていた知らないおじさんの寝息とシンクロしていたけど(笑)
そういうのも含めて、映画館で観るのは面白いよね。



文句なしの★5つです。

バルバラは、かなりのツンデレみたいだけど、笑顔としなやかな身体が美しくて素敵だった。
ちょっとシャーリーズ・セロンに似ている。
ああいうスマートな女性に憧れます。




0 件のコメント:

コメントを投稿