2012年11月12日月曜日

演劇1、演劇2

先週、今週と、シアターイメージフォーラムで「演劇1」、「演劇2」を観て来ました。
どちらも、想田和弘監督のトークショー付きです。
なんて豪華!!



 



この映画は、劇作家の平田オリザさんに密着したドキュメンタリーです。
2つ合わせて5時間42分もある大作なのですが、とにかく面白いから飽きません。

色々な要素が散りばめらているなかで、特に「平田オリザの演劇論」、「演劇界のリアル」、「監督のユーモア溢れる撮り方」の点で楽しめたかなと思います。

個人的には、先に見たせいもあって1の方が面白かったです。


まず平田オリザさん。
彼を知ったのは、実は1年半で、弊社の新人研修の講演に来てくださったときのこと。
いま思えばすごい話!
映画の中でも、その講演で聞いた内容と似た話が出てきて、記憶とリンクさせながら聞いていました。

「仮面の総体が人格。だから私たちは演じる生き物なんですね」という言葉。
日常生活でも私たちは幾つかの顔を使い分けて、すなわち演じながら生きているということを改めて気づかせてくれます。

オリザさんは講演の際に、新入社員の私たちに向けて、「会社では良き社会人というペルソナを演じることを楽しめば良い」とおっしゃっていました。
就職をしたばかりで、良き社会人にならなくてはいけないことを不安に捉えていた頃だったので、その言葉を聞いて肩の荷がおりたのを覚えています。

ほかにも
「芸術家は成功するまでは、すごく地味。孤独に耐えられるかどうかが大事」
「(演劇の仕事が楽しいかと聞かれて)楽しい。何事も楽しくなければ、どこかが間違っている」
「脚本を書くときはすごくつらい。でも、書き終えたときの達成感を知っているから、書くことができる」
これは全部、高校生がオリザさんにインタビューをするシーンの言葉なのですが、私も高校生と同じように目から鱗状態でした。


しかしながら、平田オリザさんは5時間42分見続けても、ミステリアスな存在です。
気になるので、彼の著書も読んでみようかと。



次に、「演劇界のリアリティ」
アゴラ劇場の役者さんの稽古風景、その役者さんが劇場運営の仕事をしている様子、地方公演の裏側、フランスでの製作などなど

ここまで見せていいの?というくらい演劇界の裏側を垣間見ることが出来ます。
経済的に厳しい内情も明らかになります。
オリザさんは、助成金が出ないと劇場はつぶれる。とさらりとおっしゃっていましたが。

私はオリザさんの演劇を観たことがないので、この映画で初めてアゴラ劇場の人たちに出会ったのですが、実際に劇場を見に行きたくなるくらい感動しました。

特に、地方公演の会場で、役者さんたちが大掛かりなセットを懸命に作っているシーン。
それから、フランスの役者さんたちが日本で公演をした打ち上げの席で、オリザさんの演出(日本語特有の台詞に間を空けることなど)について「彼の演出がすごくしっくりきた」、「演劇は世界共通だ」と話すシーン。

演劇に精通していない私でも、なんだかとても通じるものがありました。



そして最後に、想田監督について。
演劇1、2は「観察映画」として、余計なBGMやナレーターは一切なく淡々と進む構成になっているのですが、逆にそのおかげで、まるで自分もその現場にいるような臨場感が味わえて良かったです。

それから、くすっと笑ってしまうようなシーンや印象的なシーンがいくつもあったので、監督はすごくセンスの良い方だと思います。
平田オリザさんが庶民的な理髪店に散髪に行くシーンが好きです。




うーん。
最近観た映画の中では一番面白かったかも。
これから、演劇も観に行きたいし、オリザさんのことももっと知りたいし、想田監督のほかの作品も観てみたいな~と、好奇心が掻き立てられて困ってしまいます。





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